キツネノバゴ科の多年草。原産地は
南ヨーロッパで、公園や大庭園向きの花であります。6〜8月ごろ、70〜80センチのほどの葉が根際から叢出し、そこから1〜2メートルの太い茎を立てて、
薄紅色の唇形花を下から上へ段咲きに咲かせます。ローマ時代から栽培され、その形から、コリント式建築にアカンサス文様として意匠に用いられました。
アカンサスは、ギリシャ、ローマ時代の草の名で、ギリシア語のアケー(とがった葉)とアントス(花)が語源でそれがラテン語となり、
アカンサスとなったようです。イギリスでは、古くから「熊のズボン」「熊の手」と呼ばれていますが、その意味はわかっていません。
品種によって少し濁ったような白色、紅色、紫がかった花が咲きます。ローマのブィトルブィウスの物語によると、コリントという都市
で幼女が死んで、アカンサスの生長している場所に埋められました。その幼女を看護した老女が、玩具などを、バスケットに入れて墓に
運び、アカンサスの上に乗せました。すると、その若い葉がバスケットの重みで曲げられて、縁に美しいデザインで絡みつきました。
彫刻家で建築家のカリマコスが、偶然それを見て素晴らしいと思い、その形を石に彫って、永遠の芸術にしたといわれています。