母子草の花

母子草

母子草   中桐雅夫

四つの子供が、四つの広島の女の子が
「もっと生きていたかった」といって死んだ。
そんなことがあっていいものか、
子供の細いのどをこんな言葉が通っていったとは
だれが殺した、なにが殺したかいえぬ、
だが、その死に責任をとる者がいないとは、
哀れな死だ、ひとしお悲しい死だ、
しかもまだ小学校へもいかぬ子供なのに、
だれでも経験があるだろう、運動会で
子供たちが懸命に走っているのをみると
目がゆるむのだ、自分の子でもないのに、
ビリの子供の力走には涙が出てくるのだ。
夏の道端に母子草の小さい黄色い花が咲く、
四つの娘と、娘を非命に死なせた

母親をだれが忘れよう。




 中桐雅夫・大正8年、福岡県生まれ・詩集 「中桐雅夫詩集」「夢を夢みて」 その他 

ハハコグサ

きく科の2年草。草丈は15〜40センチ。葉は線状へら形で、ふちはやや波うち、 全体に白い綿毛が密生している。4〜5月ごろ、根元から茎が数本にわかれて伸び、その頂に淡黄色の小さい花が密集して咲く。春の 七草のひとつ。今ではヨモギがこれに代わり、一部の地方しか用いることはないそうです。

老いて尚 なつかしき名の 母子草   高浜虚子 



花言葉・やさしい人