八重さくら

オダマキの花



ぼたんざくら        安藤あんどう 一郎いちろう

「ぼたんざくら」という 二つの花を結びつけた その名は
華麗すぎて 少し俗悪に感じられる
だが なんという美しさであろう
ヤマザクラやソメイヨシノはとう散って
葉が伸びかかっている頃
イチョウとかケヤキとか コナラなどの
淡緑がかこむところ
天の青さが さらに奥へとひろがる深みの    
空間に枝々をさし交わせて
ふくよかに あつぼったく 温かで
紅の濃淡が滲んだ いくつもの
花房 造形的なかたまり ぼたんざくらが
ひっそりと咲き静もる 暮春の
喜悦と不安 耽溺と悔恨を
私はもっとも好む
菫いろの夕闇が暗さを増してくるとき
あれらの樹々の中に
古風な雪洞を灯せ

夜陰の中から 心を弾ませる
太鼓と撥の音が響いてくるからだ
花の枝が微かに揺らぐ灯影のそばで
赤黄黒に 金糸銀糸をあしらった衣装で
二、三人の舞妓が坐っており脂粉の匂い 汗ばむ肌
三味が鳴って そのまた向うに
踊りさんざめいている 栄華の
人々も見えてくる
しかし またある日の真昼
ぼたんさくらの下を通ると
妖精たちがおのおの 枝から取った
一房の花を 鈴のように振りながら
円を描いて歌っていた
散りかかる ぼたんざくら



安藤一郎・・1907年ー1972年  東京生まれ

八重さくら

古代から親しまれてきた、日本原産の代表的な花木。非常に多くの品種があり、各地に名木や景勝地があります。
芸術や文学にも古くから登場し、さまざまな作品があることから、古代からサクラと日本人の人文学的な結びつきがあります。

栽培は、葉に毛虫が付きやすき、被害が大きいと翌年、花が咲かないことが有るので、薬剤散布をし、また、枝の切り口から傷み易いので、少し太い枝を切ったら、必ず 切り口を保護財で処置をしましょう。

花言葉・ 精神的な美